自分が死んでしまったら、GmailやEvernoteはどうなる?
司法書士の手塚宏樹です。相続手続きを専門にしています。お亡くなりになる方がご高齢の方が多く、今のところはまだ問題は顕在化していませんが、これからは増えていくと思われるデジタルの相続手続き。普段から整理しておく必要があるのではないかと思い、記事にしてみました。
目次
利用者が亡くなると、定額サービスはどうなる?
電気、水道、ガス、インターネット、携帯電話などなど、毎月定額で支払っているサービスについては、遺族が利用停止の連絡をすれば止まります。あるいは、銀行引き落としやクレジットカード決済が不能となった時点でも解約されるでしょう。
では、WEBサービスはどうなるのでしょうか。利用料についてはそれほど問題ではないと考えます。自分が死んでしまった場合を考えてみても、遺族は、自分がどんなサービスを利用していたかなど分からないでしょう。決済不能によって自動的に解約になることを期待することになりそうです。
WEBサービスの中身はどうなる?
この記事を読んでくださっているあなたは、きっとEvernoteやGmailを利用しているでしょう。あるいは、グーグルフォトのような写真保存サービス、FacebookやTwitter、LINE、InstagramなどのSNS、Dropboxもありますね。これらは、自分が死んでしまったあとは、いったいどうなってしまうのでしょうか?
各種サービスでは、その場合の規約を設けているようです。
下記のページに詳しく説明されていますが、簡単にいうと、Facebookは二択です。自分の死後、アカウントを誰か別の人に管理してもらうのか、ただちに削除するのか、です。前者は、前者は追悼アカウント管理人というようです。「追悼アカウントには誰もログインできません。」と記載されていますので、メッセンジャーは見れません。
「私が死んだ場合、Facebookアカウントはどうなりますか。」
遺族からの連絡によってアカウントを削除するとのことです。そして、ログイン情報は教えてくれないと。
Facebookと同様に、追悼アカウントに移行するか、アカウントを削除するとのことです。
亡くなった方のInstagramアカウントを報告するにはどうすればよいですか。
Evernote
自分のデータは遺族であってもそう簡単に見ることはできないようです。
Gmail
3ヶ月後、6ヶ月後など、一定期間を設定しておき、その期間するほどの長期間、ログインされなければ自分が死んだ可能性があるとして、データを削除するとかの設定をしておくことができます。データ削除の前には、あらかじめ設定しておいた方法で自分に連絡が入ります。
自分が死んでしまったあとのことは、しっかり準備しておきたい
自分が死んでしまったあと、ご家族や友人がその後の手続きなどを進めてくれることになると思いますが、それについての指示を明確にしておくべきだと思います。葬儀はどうしたらいいのか、誰に連絡すべきなのか、銀行口座はどこにあって、生命保険の契約についても知らせておく必要があります。これは面倒ですが、一覧にしておかなければなりません。自分がやっておかなくては、ご家族がもっともっと大変な思いをすることになります。いわゆるエンディングノート的なものですが、デジタルデータでも用意しておけそうですね。
Evernoteやグーグルドキュメントで
すべてを紙に書いておくのは安心感のある方法ですが、手書きという時点でだいぶハードルが高いと感じる人も、現代では多い気がします。私もその一人です。そうであれば、Evernoteやグーグルドキュメントで一覧を作成してみてはいかがでしょうか。
ノートを作成して、その共有URLを信頼できる人に渡しておくか、自分の死後に必ず見つけてもらえるようにしておく、とかです。今のうちにURLを教えてしまうのも抵抗があるなあという人は後者ですね。手帳や財布の中にメモを入れておくとか、手帳のどこかに書き込んでおくとかがいいかもしれません。
ノートをつくるときは、ぜひ楽しいページにしたいですね。ご家族や友人が見ることになりますが、悲しみを和らげてあげられるような、泣きながら思わず笑ってしまうような、文章だけでなく写真や動画も貼り付けておいたらいいですね。
自分のiPhoneの中だけに入っている子どもが小さい頃の写真や動画を、同じページでも別のページでもいいですが、まとめておくのも良いアイデアだと思います。それと、あえて写真をプリントして物理的なアルバムを作ってあげるのも素敵です。
葬儀のやり方
葬儀について、遺族の方は明確な意思を持てません。どのくらいの費用感でやったらいいのか、たくさん呼んで欲しいのか欲しくないのか。好きな曲や、棺に入れて欲しいものなどを書いておくのもいいでしょうね。
連絡してほしい人
自分が誰と親しくしているかというのは、なかなかご家族はご存知ないのではないでしょうか?すべての交友関係は自分のiPhoneだけが知っている、そんな方も多いと思います。
親しかった人の一覧もぜひ作成しておくべきです。資料がないので、財産的なことよりも、より自分のメモが重要となります。
お名前、連絡先に加えて「その人との関係」
も書いておくと良いと思います。
銀行口座、証券会社
紙の通帳があればそれを手がかりに金融機関に連絡して、口座解約などの手続きを進めてもらうことができますが、近年ではWEB通帳に切り替えている方も多いでしょう。そうすると、ご家族の方が口座そのものを発見することができない可能性がでてきます。
金融機関名、支店名、口座番号
を明記しておきましょう。残高は変動しますから、とくに書かなくてもいいかもしれませんが、定期預金などある程度はっきりしたものについては、おおよその額を書いておいてあげるとご家族もその後の計画が立てやすくなるかもしれません。
WEBサービスについての処理
WEBサービスについては自分の整理の意味も込めて、一覧にしておきましょう。
クレジットカードの情報
自分でも何枚持っているかわからない人がいるかもしれませんが、全部書きだしておきましょう。
航空会社のマイル
マイレージが相続の対象になるかは各航空会社の規定によりますが、ANAもJALも相続ができますので、会員番号をメモしておきましょう。
見てほしいものと見てほしくないものと
私は日記をつけていませんが、つけていたとしたらそれは誰にも読んで欲しくはありません。同様に、たとえばEvernoteの中に入っているメモについても見てほしくはないです。でも、家族と撮った写真などはぜひ見てほしいと思います。
見てほしくないものについてはパスワードをかけるなどの方法がありますが、それでも、ご家族が頑張ってパスワードを解析しようなどと思わないように、「ここは見ないで破棄してください」と指示してあげるのが良いです。
財産面については、必要ならば正式な遺言を
不動産や預金を誰に相続させたいかというのは、紙でもデジタルなノートでも同じですが、公的には効力を持ちません。民法の規定にのっとった「遺言」を用意してください。エンディングノートでは法務局も金融機関も受け付けてはくれませんので。
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