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抵当権抹消

個人事業主だった父が亡くなり登記簿を見たら根抵当権とありました。これは何でしょうか?

    目次

    根抵当権は継続的な取引を担保するための権利です。

    司法書士の手塚宏樹です。住宅ローンを組むと、抵当権という権利が設定されます。

    土地と建物という不動産に対してくっつけられるようなイメージの権利です。

    銀行からお金を借りた人が持っている不動産に抵当権をつけて、もしその人がローンの支払いができなくなったら、その不動産を競売してお金に替えて、ローンの残債の支払いにあてることになります。

    銀行としては、お金を貸すかわりに不動産を担保にとるわけですね。

    ローンの返済が終わったら、抵当権は消滅します。そして抵当権の抹消登記をすることになります。

     

    お金を借りた本人が持っている不動産でなくてもよくて、第三者(たとえば親)の不動産に抵当権を設定することもできます。その場合、子がお金を返せなくなったら、親の不動産が競売されてしまうことになります。

    以上が抵当権の簡単な説明ですが、根抵当権とは何か。

    登記簿を見ていると、それほど珍しい権利ではありません。

    根抵当権は枠そのもの

    根抵当権とは、借主と銀行との間でお金を借りるを設定するもの、とでもいいましょうか。

    たとえば、

    • 4月に1000万円借りる
    • 5月に1000万円返す
    • 6月に1500万円借りる
    • 7月に1500万円返す
    • 8月に1300万円借りる
    • 9月に1300万円返す

    というような取引をする予定ならば、1000万円、1500万円、1300万円の3回の抵当権設定をするよりも、1500万円の枠を設定しておいて、1500万円の枠の中であれば、何度でも、いくらでも貸し借りができて、その債権債務を担保するとしたのが根抵当権です。

    抵当権のように、住宅ローンなどの一回限りのお金の貸し借りの契約を担保するものではありません。

    4月の1000万円が返済されたら、その契約が消滅して消えていくのみです。根抵当権はなくなりません。

    ちなみに、枠のことを極度額といいます。

    根抵当権が確定したらそのときに残っているものが担保される

    そしてあるとき、「はい!ストップ!」と声がかかって、根抵当権はカチコチに固まります。

    固まった根抵当権をもう使うことはできません。

    これを根抵当権の確定といいます。

    確定した根抵当権を、新たな貸し借りのために使うことはできません。

    確定した時点で残っている残債を担保するだけ、という状態になります。

    したがって、確定した時点で根抵当権は、ふつうの抵当権と同じようなものになります。

    ふつうの抵当権と同じですから、根抵当権の場合も残債を返し終わったら消滅します。そして抹消登記をします。

     

    根抵当権の元本確定事由

    いくつもあるのですが、相続の場面で重要なのは2番です。

    ほかは、これ以上取引を続けるのがふさわしくないような状況が来た、ということですね。

    司法書士試験の勉強のときには、根抵当権の元本の確定というのが本当によく出題されていました。

    1. 確定期日の到来
    2. 相続開始後6ヶ月以内に合意の登記をしなかった場合
    3. 合併または会社分割がなされたことにより設定者が確定請求をした場合
    4. 根抵当権の設定者が確定請求をした場合
    5. 根抵当権者が確定請求をした場合
    6. 根抵当権者が競売等を申し立てた場合
    7. 根抵当権者の滞納処分による差押えがあった場合
    8. 第三者の申し立てによる競売手続きの開始等があった場合
    9. 債務者または設定者が破産手続開始決定を受けた場合

     

    根抵当権を引き継ぐか抹消するかの決定を6ヶ月以内に

    債務者が亡くなったときには、不動産に設定されている根抵当権をそのまま残して引き継ぐのか、もう使わないから抹消するのかを検討します。

    もし、故人の事業を引き継いだなどの事情があれば、根抵当権をそのまま使い続けるということもあるでしょう。

    その場合、

    • 相続人への所有権移転登記
    • 相続人全員を債務者とする根抵当権の債務者変更登記
    • 指定債務者の合意の登記

    という3つの登記をすることになります。これは相続開始後6ヶ月以内にする必要があり、それをしないと先ほど出てきた「はい!ストップ!」で元本が確定します。

    このあたりの登記を司法書士を使わないですることは、おそらくないのではないでしょうか。

    今後、もはや根抵当権は使わないときは

    事業を相続したなどの事情もないし、よくよく銀行に聞いたら、枠の中に残っている債権債務も何もなかったので、もう根抵当権なんていうものは抹消したい。

    というときは、

    • 相続人への所有権移転登記
    • 根抵当権の抹消登記

    をします。ちなみに実務上、普通抵当権にくらべて、銀行の手続きが厳しいような気がします。

    根抵当権の担保提供者が亡くなったとき

    債務者と担保提供者が違う場合があります。子の債務を親の不動産で担保するケースですね。

    このとき、親が亡くなった、子は健在、ということであれば、

    • 所有者である親が亡くなったことによる相続人への所有権移転登記

    をします。根抵当権については、とくに何もしなくてよいです。

    根抵当権の登記事項は、

    • 根抵当権者(貸した側、銀行)
    • 債務者(借りた側)
    • 極度額

    といったところです。担保提供者は登記事項ではありません。というか、担保提供者=所有者ですから、所有者が誰かというのは根抵当権の欄で見るのではなくて、甲区の所有者の欄に登記されていることです。

    したがって、所有権についての登記をすればそれで足ります。

     

    根抵当権については6ヶ月の期間があるので相談はお早めに

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