団体信用生命保険に入っていてよかった!ローンの返済、登記について解説します。
司法書士の手塚宏樹です。相続が発生したとき、毎月支払っていた住宅ローンはどうなるのでしょうか?
団体信用生命保険に加入しているかいないかで、その後の手続きが大きく変わってきます。この記事は、故人の名義の不動産があり、住宅ローンを支払い中のご家族に向けてのものです。
目次
相続の基本的な考え方
ある人が亡くなる(相続が開始する)と、亡くなった人のプラスの財産もマイナスの財産も、相続人が引き継ぐことになります。
住宅ローンのことでいうと、プラスの財産がマンションや家などの不動産(土地や建物)で、マイナスの財産が住宅ローン、となります。
住宅ローンは銀行からお金を借りているので債務ということですね。
団体信用生命保険(団信)とは
住宅ローンを組むときに、合わせて加入する保険のことです。もし、住宅ローンの支払い中に債務者本人が死亡してしまったり、高度障害状態になってしまったりすると、ローンの返済ができなくなってしまいます。そのような場合には、保険会社が銀行に残りのローンを支払ってくれますので、相続人には何も請求がこなくなります。
債務者が亡くなってしまうと、ローンは消える、ということです。
団信に加入しているかの確認はどこに?
残されたご家族が詳しい事情をご存知ないこともあります。団信に加入しているかどうかの確認は、住宅ローンを支払っている金融機関に聞けばよいです。
おそらく最寄りの支店での取引でしょうから、そこに電話をして「家族が亡くなったので、相続手続きについて教えてほしい。住宅ローンもある」と言っていただければ話が早いでしょう。
また、この問い合わせの前に司法書士にご依頼いただければ、金融機関とのやり取りから代行することができます。
その後の銀行関係の手続き一切をお引き受けします。
団信に加入している場合
どんな手続きが必要か
窓口となっている銀行に連絡をして、戸籍などの必要書類を提出すれば住宅ローンはストップします。はやめに連絡をしないと、引き落としが続いてしまいますので、ご注意ください。もし引き落としがされても後日返還してもらうことはできますが。
銀行は、こちらから連絡しないとその人が亡くなったことを知りようがありません。
団信の手続きは3年間のうちに行ってください。放置しておくと団信が利用できなくなってしまい、住宅ローンを消すことができなくなります。
抵当権抹消登記
住宅ローンがなくなったときは、抵当権抹消登記というものをしなければなりません。
もともと家を購入して名義を取得したときに住宅ローンを組んだわけですが、そのときに抵当権設定という登記がされていたのです。
登記簿謄本(登記事項証明書)がお手元にあれば、乙区という欄を見ていただくと抵当権設定という文字があるかと思います。
ここに下線が引かれていなければ、まだその抵当権は残っているということになります。
※下線は抹消事項を表します。
銀行に、債務者が亡くなったという通知をすれば、抵当権抹消についての登記書類を送ってくれます。
相続登記
住宅ローンに関しての抵当権の登記とは別に、家の所有者を変更する登記も必要です。これを相続登記といいます(正確には、相続による所有権移転登記)。
遺産分割協議書を作成して、戸籍を集めて、申請します。
この登記は抵当権抹消登記と同時にすることができます。
いつまでに登記をしなければならないか
期限はありませんが、銀行から住宅ローンの抹消についての書類を受け取り、その書類の有効期限内(2ヶ月くらい)に行わないと、ふたたび書類を取り寄せる必要が出てきてしまいますので、はやめに手続きをするか司法書士に依頼しましょう。
登記は自分でできるか
書類の取り扱いに慣れている方で、ネットでいろいろと調べることに抵抗がなく、時間もとれるのであれば、抵当権抹消登記ならば、ご自身でできるでしょう。司法書士に依頼する場合の手数料(多くの事務所では2万円程度です)と、労力を考えてご依頼いただくかご自身でされるかご検討いただければと思います。
相続登記については、ハードルが高くなります。戸籍謄本を集めたり、遺産分割協議書を作成しなければなりません。
団信に加入していない場合
団信に加入していないと、住宅ローンは継続したままです。
どんな対応が考えられるか
支払いを続けるか、家を売却して残債の返済にあてるか、それもうまくいかなければ相続放棄をするという選択肢があります。
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