遺言のなかで、「○○銀行の預金は長男に相続させる」と書いていたとします。遺言を書いた本人よりも先に長男が亡くなってしまったら、この遺言はどうなるのでしょうか?
事情が変わったらその遺言はどうなる?
目次
遺言全体として無効になるわけではない
「○○銀行の預金」以外の部分については、何も影響がありません。たとえば「△△銀行の預金は二男に相続させる」と書いてあるのであれば、△△銀行の解約手続きは問題なく行うことができます。
しかし、○○銀行の預金を相続すべき長男が亡くなってしまったので、その条項に関しては効力を失ってしまいます。するとどうなるか。
遺言で行き先を指定したのにその効力がなくなってしまうということなので、○○銀行の預金に関しては、遺言は関係なくなり、遺産分割協議の対象となるのです。
どういうことかというと、遺言でもって行き先を指定された財産は相続人全員の遺産分割協議をへなくても、指定された人が取得できます。
しかし、遺言がなければ、あるいは遺言に書かれていない財産については、相続人全員が遺産分割協議をし、そこで誰が相続するかを決定することになります。この場合、相続できるのは法定相続人の中の誰か、ということになります。法定相続人でない人に引き継がせる場合は、相続とは別個の、たとえば贈与などの手続きが必要になってきます。
遺言者本人よりも先に長男が死亡したのならば
すぐに遺言を書き直すべきです。しかし、その時点において遺言者本人が認知症になっていたりすると、遺言の再作成は不可能となります。また、そもそも遺言の修正が必要ということを認識していないということもありえます。
予備的遺言の文言
遺言を作成するにあたりコンサルティングをするときは、必ず「この人が先に亡くなったらどうしますか?」ということを確認するようにしています。
つまり、上記の例でいうと、○○銀行の預金を相続させてやりたい「長男」が先に亡くなったら、誰に相続させますか、ということです。次の順位の人を決めておくわけです。
そして、この「次の順位」の人の名前も遺言のなかに記載することができます。そうしておけば、「長男」が先に亡くなってしまったとしても、遺言を修正することなく、そのままにしておくことができます。
定期的に見直しを
とはいえ、遺言は一年に一回ほどは見直しをするべきと考えます。自分の気持ちが変わっているかもしれまんし、いろいろと家族をとりまく状況も変わっているかもしれません。
残された人が困らないようにしてあげるのが遺言です。
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