故人の家の中にあるモノはどうやって分けるべき?
司法書士の手塚宏樹です。不動産や銀行口座については、遺産分割協議のなかで誰が引き継ぐのかを明確に決定することになりますが、家財道具や形見の品などはどのように扱うべきなのでしょうか。
ほかの家族に黙って、自分一人で処分してしまっても問題はないのでしょうか。
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不動産と動産
不動産は土地や建物のことです。土地や建物は、法務局に登記簿があり、その中で所有者が記録されています。所有者が変わったら登記をする必要があります。
自動車は不動産ではありませんが、登録制度があります。船もそうですね。
しかし、本やパソコンや冷蔵庫などに、どこかに所有者の名前を登録するなどという制度は聞いたことがありませんね。パソコンはPCメーカーが顧客サービスの一環として所有者の情報を入力させるものもありますが、それはあくまでその会社独自のものです。国に対して、自分がこの会社のパソコンの所有者です、と申し出ることはありません。
したがって、故人の家のなかに残っていたものについて、ご家族が引き継いだとしてもそれをどこかに申請する必要はありません。
金銭的価値のあるもの、ないもの
どこで線引きをするかは難しいところですが、貴金属は金銭的価値のあるものですし、故人の日記帳は金銭的価値のないもの、というような分け方になります。
貴金属や美術品など、明らかに金銭的価値のありそうなものは、慎重に遺産分割協議をすることになります。金の延べ棒があれば、金銭のかわりに相続するという考え方にもなるでしょう。
では、故人の思い出の品、形見についてはどうでしょうか。
これは相続税とも無関係ですので、ご家族で話し合って、誰がもらうのかを決めればよいでしょう。
一つ一つを遺産分割協議にメモする必要まではありません。
遺言に記載する
もし自分が遺言を書くとしたら、「○○の不動産を長男に相続させる」と書くだけではなく、「その中に含まれる動産一切も長男に相続させる」と記載してあげれば、トラブルを防止できます。
その家のなかに現金が数万円残っていた場合でも、その遺言によって長男がもらってしまうことができます。
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