【ご相談事例】父は字が書けないのですが、遺言書をつくれますか?
司法書士の手塚宏樹です。遺言のご相談というのは、遺言を書かれるご本人からのものと、そのご家族からのものがあります。
ご本人が自ら、私どもの事務所にお電話をかけてきて、「子どもたちが揉めないように遺言書を書いておきたいのだが」とおっしゃる方は、だいたいみなさん、まだお元気ですので、実際に遺言書を作成する場面で苦労することはありません。
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ご本人の意思確認
しかし、ご家族が、「父に遺言を書いてほしい。父も書くつもりでいる」というお話をいただくことも多くあります。こういったときには、まず司法書士としては、ご本人に会ってお話を伺い、本当に遺言を書くお気持ちがあるのか、その内容は、ということを直接確認しなければなりません。
ときには病床におられる方と面会することもあります。ご自宅であったり病院、養護施設を訪問することもあります。
意思疎通が難しいことも
ふだんご本人と接しているご家族としては、「話はわかります」とおっしゃることがあっても、実際に第三者がお話をしようとすると、なかなか会話が成立しないこともあります。
こちらが話しかけて、「うなずいた」というレベルでは、意思の確認としては弱いです。
どんな状態であっても遺言が作成できるわけではありませんので、遺言はお元気なうちに作成されることをおすすめします。「もう遺言は作成することができない」という状態の方にも何度もお会いしてきて、本当に強く、そう思います。
字が書けなくても遺言は作成できる
遺言にはいくつかの種類があります。大別すると、おもに、自筆証書遺言と公正証書遺言です。実務的にも、ほとんどがこのどちらかです。
両者の違いについて詳しくはこちら→自筆証書遺言と公正証書遺言
自筆証書遺言は必ず自筆
自筆証書遺言というのは、その名の通り、「自筆」で書かなければいけません。最近の法改正により、財産目録については手書きでなくても良いとされていますが、それでも、本文については自筆で書く必要があります。代筆は認められません。
公正証書遺言は署名だけ
公正証書遺言というのは、公証役場で作成するものです。司法書士が事前に案文を作成し、公証役場に遺言書を作成してもらっておき、その後に、遺言者ご本人と司法書士が公証役場を訪れ、内容の確認をしたうえで、ご本人に署名していただく、という流れです。
ご本人の作業としては、署名だけ、になります。
長い文章を書くことは無理だけど、ご自分のお名前だけならば書けるという方もご高齢の方には多いです。
署名も代筆を頼める
公正証書遺言は、公証役場に所属する公証人が、作成に立ち会ってくれます。その公証人が、遺言書の内容を、ご本人に確認し、ご本人が署名をすれば完成となるのですが、ご本人が署名することが難しい場合は、公証人が代筆をすることもできます。
意思能力さえはっきりしていれば、たとえ手が思うように動かない方でも、遺言を作成することはできます。
公正証書遺言は、公証役場に支払う手数料がかかってしまいますが、このような面でも利用するメリットが大きいです。
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