【ご相談事例】我々子どもたちは何も相続しないから、全員が相続放棄をすれば母がすべてを相続できますよね?
司法書士の手塚宏樹です。先日は、年に一回当番がまわってくる、市役所の登記相談員を担当してきました。ほかにも、日々、自分の事務所で相談を受けたり、友人知人から食事の機会に、軽く相談をされるということもあります。
これは危ないな!と思った事例がありますので、ご紹介します。
目次
相続放棄と遺産分割協議は違う
父が亡くなって、相続人は母と、子が2人。
母がすべてを相続するということに話がまとまったので、子は「相続放棄」をしようと思う。相続放棄をすれば、すべて母が相続できますよね?
最初は、このような事情はわからずに、単に「相続放棄のやり方を教えてほしい」ということでしたが、なぜ相続放棄をするのかと伺っていくうちに、このような背景を聞き取ることができました。
一見、もっともらしく聞こえますが、これは絶対にやってはダメです。
遺産分割協議をすべき
上記のケースですと、お子様2人は相続放棄をすべきではなく、母上をまじえて遺産分割協議をして、その中で、「亡くなった人の配偶者がすべてを相続する」と決める必要があります。
相続放棄ではなぜダメか
お子様2人が相続放棄をしてしまうと、この方々は最初から相続人ではなかったものとみなされます。どうなるかというと、法定相続を考えるうえでの第一順位の相続人(子)がいないものとして扱われますので、第二順位(亡くなった方の親)の人に相続権が移ってしまいます。
結果、配偶者の方と、亡くなった方の親が相続人ということになってしまい、配偶者がすべてを相続する、という当初の目的は達せられなくなります。
※もし、親が亡くなっていれば、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
法定相続について詳しくはこちらをご参照ください。
相続できるのは誰?法定相続人の基礎知識。
専門家に相談すべき
いまはネットで調べればたくさんの情報があり、一見正解に見えるようなこともすぐに見つかります。しかし、必ずしもその情報が、ご自分のケースに当てはまるとは限りません。
また、似たような手続きを経験したお知り合いの方から、「そういうときは、こうすればいいよ!私はこれでうまくいったよ」というお話を聞くこともあるかもしれません。しかしそれは、あくまでその方のケースにおいて上手くいったというだけです。
私の事務所にお越しになる方の中にも、ご自身でとてもよくお調べになっている方がいらっしゃいます。その方のお考えが合っていることもあれば、残念ながら間違っていることもあります。
上記の相続放棄のように、やってしまってからでは手遅れ、ということもあります。ぜひ一度専門家の意見をお聞きになることをおすすめします。
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