東京都小平市で、遺産相続手続(相続や相続放棄等)、不動産名義変更、遺言、生前贈与、金融機関の解約、戸籍謄本の収集代行、遺産分割協議書の作成などを行う手塚司法書士事務所です。西武新宿線・花小金井駅徒歩5分

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相続登記

相続登記で「共有」はやめたほうが良い理由

    司法書士の手塚宏樹です。小平市・花小金井駅南口で相続専門の司法書士事務所を運営しております。当事務所にお越しになるお客様からよくご相談されることの一つに、「名義は誰のものにしておいたほうがいいのか?」というものがあります。いちど決めた名義はそう簡単には変更することができませんので、しっかりと検討する必要があります。この記事では、相続登記をする際の「共有」について考えていきます。

    目次

    不動産の名義はどうやって決めるのか?

    相続が起こったときに、引き継ぐ人の名義はどうやって決めるのでしょうか。まず、遺言があればそれに従います。亡くなった人が、「自宅は長男に相続させる。別荘は次男に相続させる。預金は長女に相続させる」と書き残してくれていればそれに従えばいいです。財産的に多少の不平等があったとしても親がそのように言っているのだから、ということで納得感はあるのかなと思います。

    少し話はそれますが、「自分が亡くなったあとは子どもたちで決めてくれたらいい」という方もいらっしゃるかと思います。「子どもたちは仲がいいから大丈夫」とも。それは今のみなさんの事情において、さらに、親がお元気だからなのではないでしょうか、とも思います。将来、たとえば誰かが職を失ったり、何らかの事情変更があった場合において、財産を相続できる機会が訪れたときに、「今」と違うことを言い出す可能性はあります。また、相続人の配偶者の方が意見を出してくることも考えられます。遺言があるほうが安心ですね。

    遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。これは必ず相続人全員です。必ずしも一堂に会する必要はありませんが、全員が同意しなければなりません。また、相続人のうちに、未成年者や、自分の意思を表明できない人がいる場合には、その代理の人を立てなければいけません。代理になることができるのは、今回の相続とは関係のない人を選ばなければなりません。つまり、父が亡くなって、その相続人が母と幼い子の場合、母は子の代理にはなれません。母の親などに子の代理をしてもらわないといけません。

    相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって、不動産の名義は誰のものにでもすることもできます。ただし、相続税の関係で、誰が相続人になったほうが得策なのかという問題も出てきます。非課税の範囲内なので相続税は考えなくて良いということであれば、関係者のお気持ちだけで所有者を決めて差し支えありません。

    いったん相続登記をしたあと、変更することはできるのか?

    遺言または遺産分割協議書によって相続登記を行ったあとに、やはり気が変わったといって名義を変えることができるでしょうか?できるかできないかといったら、遺産分割協議のやり直しということで、登記手続き上は可能です。しかしふたたび、相続人の方の印鑑証明書なども必要になってきますし、税金の問題も発生します。

    登記手続き的には、更正登記によっていったんなされた相続登記を修正したり、抹消登記によって完全に相続登記をやり直す方法があります。これは司法書士を通さないと、ご自身で行うにはかなり難しい登記だと思います。

    単に名義を変えるのは難しいという別の記事も書いています。こちらの記事をご参照ください

    共有はやめたほうがいい理由

    名義を誰にするか決めるときに、とりあえず全員の共有にしておこうか、ということがあると思いますが、特に理由がないのであればやめたほうが良いです。

    たとえば、その後すぐにその不動産を売却する、売却代金は相続人で分け合う、というような理由があれば共有でも良いかもしれませんが、そのような理由が何もなく共有にするのは避けていただきたいです。

    共有にするということは、厳しい言い方をすれば問題の先送りです。不動産の所有者である父が亡くなって、母と子どもたちで共有にする、これはまだ良いでしょう。しかし、将来、母が亡くなったときには、必ず子どもたちのうちの誰か1人の名義にすべきです。子どもたち同士の共有にしてしまうと、そのときはいいかもしれませんが、何年後か何十年後かに、「そろそろ売ろうか」となったときに、共有者全員で合意がないと売却できません。また、共有者のうちの1人が亡くなってしまった場合は、その家族が相続人となりますので、権利を持つ人が多くなってしまいます。もともとの兄弟同士でしたら話し合う機会もつくりやすいかもしれませんが、義理の関係の家族ではなかなか難しいのではないでしょうか。

    決めなければならないときがやってきたら、不動産は長男が取得する、預金は次男が取得する、というように不動産は単独で相続するように決定していただきたいと思います。次男が相続する預金が少なく、次男が納得できないということであれば、長男が代わりに金銭を提供するなりして話をまとめる必要があります。いますぐ全額を払わなくても、分割でも良いのです。いっそのこと、不動産を売却してしまって、得られた代金を二人で分け合うとしても良いでしょう。将来に禍根を残してしまう可能性を残すよりずっと良いと思います。長年住んできた自宅だから思い入れもあるということもあるでしょうし、様々な事情によりそう簡単にはいかないということもわかります。しかし、将来、家族が苦しむことになる可能性もあるのです。今の代で解決すべきことは、次の代に残してはいけないと思います。

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