離婚をして不動産の名義を変更するときの登記手続きを司法書士が解説します。
司法書士の手塚宏樹です。離婚をしたときには様々な手続きがありますが、自宅の名義をどうするかも大事なポイントです。
登記手続きだけを考えれば、(元)夫と(元)妻の両者が合意をしていれば、とくに問題はありません。
税金面については、よくよく検討しなければなりませんが、そこをクリアしたうえで、あとは名義変更の登記をするだけ、という状態の方に向けて登記手続きについてご説明します。
当事務所に離婚による財産分与の手続きをご依頼いただくときの流れは、離婚にともなう財産分与による不動産名義変更手続きの流れについて をご参照ください。
目次
登記は離婚届の前か後か
法務局への登記手続きをするのは、離婚届けの後、です。
離婚によって財産分与をした結果、不動産の所有権が移転するということになりますので、離婚が成立しないと不動産の権利も移動しません。
パターンは2つあります。
- 離婚届を出す前に協議がととのっていた場合は、離婚届を提出した日に、権利が移転します。
- 離婚届を出した後に協議がととのった場合は、協議日に、権利が移転します。
離婚協議書は必要なのか
離婚をするにあたり離婚協議書は絶対に作成しなければならないわけではありません。
しかし、将来のトラブルを避けるために、お互いの取り決めを証拠として残すために離婚協議書を作成するのが一般的です。
離婚協議書がなくても登記手続きは可能です。
離婚をし、それに伴う財産分与として不動産の権利を渡した、というような内容の書面を司法書士が作成すれば離婚協議書そのものがなくても、名義変更登記ができます。
司法書士に依頼する場合、夫と妻が揃って行動する必要はない
裁判所を通さずに、両当事者だけで話し合いをするという協議離婚の場合は、両者の共同申請という形になります。
司法書士に依頼する場合は、両者から司法書士へそれぞれ委任状を渡します。
多くの場合、夫または妻のどちらか一方からの依頼からスタートすることになるでしょう。
二人揃って司法書士事務所を訪れる必要はありません。
その後、最初の依頼者ではない他方への連絡は司法書士が直接行います。相手には「司法書士に頼んだ。近いうちにそちらにも連絡がいく」という旨を伝えておいていただければ、あとは司法書士がすべて処理できます。
とにかく、夫と妻、2人が直接会わなくても手続きは問題なく進められます。
裁判所で離婚がととのった場合
家庭裁判所で離婚となった場合には、裁判所からの調停調書によって、不動産の権利を取得する側の人が単独で申請することができます。
相手に全く連絡をとる必要はありません。
登記に必要な書類
(権利を取得する人)
- 住民票
- 認印
(権利を失う人)
- 権利証または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書
裁判離婚の場合
- 調停調書正本又は判決正本
- 住民票
- 認印
権利を失う人の関与は一切不要です。
登記に必要な費用
離婚による財産分与で不動産の権利を移転させるときは、不動産評価額の2%の登録免許税がかかります。
1000万円の評価額であれば20万円ということです。
評価額とは、固定資産税の計算のもととなる額です。
毎年、市役所などから送られてくる固定資産税の支払いの書類の中に記載してあります。
わからないときは市役所や都税事務所で調べられますし、司法書士が代行して書類を取り寄せることもできます。
住宅ローンがまだ残っている場合
住宅ローンの返済がまだ残っているときは、登記簿には抵当権というものが設定されています。不動産が担保になっている状態です。
このようなときは、借り入れをしている金融機関にまず相談をしてください。
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