個人事業主が亡くなった場合、何をしなければいけないのか
司法書士の手塚宏樹です。小平市・花小金井駅南口で司法書士事務所を運営しております。
私自身、個人事業主として活動をしていますが、会社の経営者が亡くなった場合と個人事業主が亡くなった場合とでは考え方、手続きが異なってきます。会社の経営者が亡くなったときの手続きについてはこちらのページをご参照ください。
目次
会社と個人事業主の違い
個人事業主は、会社(=法人)ではなく自分の名前で商売をしています。私の事務所は「手塚司法書士事務所」という屋号がありますが、これは会社名ではなく、あくまで通称のようなものです。
個人と法人では考え方が違います。法人は、個人としての社長、あるいはオーナーとは切り離して考える必要があります。会社の社長が亡くなっても、社長としての地位を相続するのではありません。相続の対象になるのは、会社の株式です。株式を持っている人が会社を動かすことができます。具体的には株主総会を開いて株主としての権利を行使して次の社長を選ぶ、などです。そして、会社の名義の不動産はあくまでも会社のものです。
しかし、個人事業主が持っている財産は、それが事業に関係するものであっても、個人の財産です。したがって、個人事業主が亡くなった場合は、すべて相続財産になると考えられます。
税務署への届け出が必要
個人事業主は、事業を開始するときに税務署に届け出をしています。また、毎年確定申告を行って税金を収めています。
個人事業主が亡くなったときには、事業を廃止する届けを出す必要があります。提出期限がありますので注意しなければなりません。
- 個人事業主が死亡してから1ヶ月以内に廃業届を提出
- 消費税の納税義務者だった場合には、亡くなってからすみやかに「個人事業者の死亡届出書」を提出
- 亡くなってから4ヶ月以内に準確定申告
準確定申告は、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までにおける所得税の申告です。通常の確定申告は12月31日までで締めますが、最後の年は亡くなった日までで、それを4ヶ月以内に申告する必要があります。
借り入れには注意
会社の場合は、会社として借り入れをしていた場合はそれは個人とは関係がないので相続の対象とはなりません。個人として連帯保証をしていた場合は、連帯保証人としての地位を引き継ぐということになります。
個人事業主の場合は、そのような区別はなく、すべて個人が借り入れをしていたことになりますので負債が相続の対象になります。
相続放棄も視野に入れて
相続人が返済していく必要がありますが、負債の額がプラスの財産よりも大きい場合は、家庭裁判所に対する相続放棄の手続きも検討すべきです。
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も「一切」相続しないという制度です。プラスの財産だけ相続するということは認められておりません。また、プラスの財産に手を付けてしまうと、その後に相続放棄ができなくなることがありますので、はやめに専門家にご相談ください。
相続放棄は、亡くなったことを知った日から3ヶ月以内にすべし、と規定されていますのでご注意ください。なお、3ヶ月を過ぎても相続放棄が認められる場合がありますので、期間が経過してしまっている場合でもぜひご相談ください。
相続放棄の手続きについてはこちらのページをご参照ください。
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