相続人が自分1人だけの場合、遺産分割協議書は必要なの?
司法書士の手塚宏樹です。相続が発生すると、様々な手続きをしなければならず、そのほとんどに戸籍謄本や遺産分割協議書(遺言があれば遺言)、住民票などを提出することになります。
しかし、相続人が自分1人だけの場合でも「遺産分割協議書」は必要なのでしょうか?
目次
遺産分割協議書とは
相続人が複数いる場合に、誰がどの財産を相続するのかを決定したことを証明するために遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の作成については、こちらのページ(司法書士が教える遺産分割協議書の書き方)
をご参照ください。
遺産分割協議書には相続人全員が署名・押印し、銀行や法務局には全員の印鑑証明書を同時に提出します。
相続人が1人だけの場合
相続人が1人だけということは、故人の遺産を相続するのが自分だけということですから、遺産をどのように「分ける」もなにもありません。
したがって、遺産分割協議書は不要です。
相続手続きの書類に何か違いはあるか
相続人が複数の場合と、1人だけの場合とで、何か違いは生じるのでしょうか。
まず、遺産分割協議書がいらなくなり、法務局での相続登記においては印鑑証明書も不要になります。
どんな場合に相続人が1人だけになるのか
相続人が1人だけになるのはいくつかのパターンが考えられます。
相続人についての基本的な考え方はこちらのページ(相続できるのは誰?法定相続人の基礎知識)をご参照ください。
相続人が子1人だけの場合
相続人のなかでは子が一番優先します(配偶者は常に相続人)。したがって、配偶者がすでに亡くなっていたり、離婚していたりして存在しない場合には、子が1人だけということが考えられます。
また、子が被相続人よりも先に亡くなっていれば、その子の子(孫)が相続人となります。これを代襲相続人といいます。
相続人が親または祖父母1人だけの場合
子がいない場合は、被相続人の上の世代の人が相続人となります。配偶者がおらず、上の世代が1人だけの場合にも相続人が1人だけの状態がありえます。
なお、上の世代は、親等の近いほうが優先しますので、被相続人の父と祖父が健在の場合は、父が相続人となります。
相続人が兄弟姉妹1人だけの場合
子がおらず上の世代も誰もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。
相続人が配偶者だけの場合
子、上の世代、兄弟姉妹が誰もおらず、配偶者だけということも考えられます。
ほかに相続人がいたが、1人以外が相続放棄をした場合
子、上の世代、兄弟姉妹、いずれのケースかに関わらず、ある1人以外の人が全員、家庭裁判所に対して相続放棄の申出をしたのであれば、それらの人は相続人ではなくなりますので、残った人だけが相続人となります。
なお、この場合、相続登記をするにあたっては遺産分割協議書は不要ですが、「相続放棄申述受理証明書」を家庭裁判所から入手してそれを法務局に提出する必要があります。
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