夫婦共有の家があります。夫が亡くなったらどうすればいいのでしょうか。
司法書士の手塚宏樹です。自宅を購入するときに、夫婦で資金を出し合って、あるいは二人でローンを組むなどしたので、名義が夫婦の共有になっていることがあります。夫が亡くなったら、何をすればいいのでしょうか。
目次
必要になる手続き
不動産所在地を管轄する法務局で、相続登記の申請をします。正確には、相続を原因とする「持分移転登記」をすることになります。
この手続きには、下記の書類が必要になります。
・夫の出生から死亡までの戸籍謄本等すべて
・世帯全員の住民票
・不動産の固定資産税評価証明書
誰の名義になるのか
夫が亡くなってしまうと、夫の不動産の持分は誰が相続できるのでしょうか。これは法定相続人が誰になるのか、によります。
夫婦の間に子どもがいる場合
子どもがいるのであれば、法定相続人は妻と子どもになりますので、その中で自由に決めることができます。子どもが未成年であったとしても、子どもが名義を相続することは可能です。ただしその場合、遺産分割協議をするにあたっては、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になります。
夫婦の間に子どもがいない場合
子どもがいないと、夫の法定相続人は妻と、夫の父母(または兄弟姉妹)となります。残された妻と、夫の実家の家族とで遺産分割協議をするのは大変なこともあるかと思います。話し合いがまとまれば、妻の名義にすることはもちろん可能です。
遺言を用意しておくべき
夫婦の間に子どもがいない場合は、遺言を準備しておくべきでしょう。これは夫も妻もどちらもです。どちらかが亡くなると、その法定相続人は配偶者と、亡くなった人の父母あるいは兄弟姉妹になりますので、そのような遺産分割協議を避けるためには遺言によって、自分の持分を相続するのは配偶者なのだと、お互い遺言を書くべきです。
遺言があれば、遺留分の問題は残るとしても、少なくとも不動産の名義はすみやかに変更でき、その後売却するとかいったことも自由に行えるようになります。
かかる費用
相続登記をすることになりますので、依頼する専門家としては司法書士になります。司法書士事務所によって報酬に違いはありますが、おおよそ10万円前後でしょう。
そこに、登録免許税という法務局に納める印紙代が加わります。不動産の固定資産税評価額の0.4%ですが、移転する持分の割合を掛けますので、夫婦で50%ずつの共有となっているのであれば、不動産全体の評価額の50%に0.4%を乗じた額となります。
1000万円の不動産であれば、500万円が課税価格となり、登録免許税は2万円です。
住宅ローンはどうなるか
住宅ローンを借りていれば登記簿に抵当権設定登記がされています。団体信用生命保険に加入していれば、亡くなった方の債務はなくなりますので、それに対応する抵当権は抹消登記をすることになります。金融機関に連絡をすれば必要な書類を入手できますので、その書類を司法書士に渡せば、相続登記と一緒に抵当権抹消登記も行ってくれます。費用としては2~3万円程度が上乗せとなるでしょう。
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