疎遠だった親戚から「相続手続きをするので印鑑証明書を送ってほしい」と言われたが…?
司法書士の手塚宏樹です。小平市・花小金井駅南口で相続専門の司法書士事務所を経営しております。「相続登記をしてほしい」、というご依頼をいただくことがほとんどですが、まれに、「長年連絡をとっていなかった親戚から、相続手続きをするので遺産分割協議書に押印して印鑑証明書も送ってほしいと手紙がきた。どうしたらいいだろうか?」というご相談を受けることがあります。
目次
相続手続きをするときに必要なもの
相続手続きをするとき、それが銀行の預金解約であれ、不動産の名義変更であれ、集める書類はほぼ共通です。
- 亡くなった方の戸籍謄本すべて
- 相続人全員の現在の(最新の)戸籍謄本
- 相続人全員が押印した遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
このほか、相続登記をするには住民票などが必要になります。
相続人が、亡くなった方の配偶者と子どもたち、ならば相続人の人数も少なく、比較的書類も揃いやすいかと思います。もちろんそうでない場合も多々ありますが。
大変なのが、亡くなった方に子どもがいなくて、相続人が兄弟姉妹になるケースです。さらに兄弟姉妹も亡くなっていたりすると、その次の世代が相続人となります。これを代襲相続人といいます。
相続人の範囲が広がると、日々の関係も希薄なことが多いのでしょう。相続が起こったので、久しぶりに連絡をとるということも少なくないはずです。連絡をくれた人が、自分とどういう関係なのかすぐには分からないということもあるかもしれません。
しかし、不動産や銀行口座の手続きを進めるには全員の協力が必要なので、相続人のうちの誰かが代表となって仕切っていくことになります。
→金融機関の解約の流れについてはこちらの記事をご参照ください
相続人同士の関係が密でない場合
手続きを進めようとする人が、ご自分で行うのかそれとも司法書士などの専門家に依頼するのかによって、その後の手続きがスムーズに進むのかが変わってきそうです。また、依頼するにしても、どんな事務所に依頼するかによって変わりますね。
一番やってはいけないのが、いきなり遺産分割協議書を郵送して、これにハンコを押して印鑑証明書ともに送り返してほしい、とやってしまうことです。
送られた側の人の気持ちに立てばこれがダメなのは分かりそうなものですが、けっこう聞きます。こういうケース。司法書士がやってしまうこともあるかもしれませんね。ご依頼者から事実関係の聞き取りを正確に行わずに、「書類を送ってくれたらいいから」という言を信じて、そのまま送ってしまうこともあるように思います。
まずは、「こういうことがありました」、とお亡くなりになった事実を伝えるところからだと思います。そして、結論を急がずに、何度もやり取りすることを厭わずに進めていくことが寛容かと思います。
→連絡がとれない相続人がいる場合の手続きの進め方についてはこちらの記事をご参照ください
書類に判を押してほしい、と言われたらどうしたらいいのか?
ではご自身がそのような乱暴な連絡を受けたときはどうしたらいいのでしょうか。決して乱暴ではなく、丁寧に協力を仰ぐ内容であれば、ご自身のお考えにしたがってご回答いただければ良いかと思います。しかし、ちょっとこれは虫の居所が悪いぞ、というようなやり方であれば、今すぐ無理に返事をする必要もないでしょう。先方は、あなたの協力がないと手続きを進められないのです。もしあなたがずっと返事をしなければ、場合によっては遺産分割の調停の申立てがなされるかもしれません。が、訴えられた!というわけではありませんので。裁判所のなかで話し合いましょう、というだけの話です。そこまで関わりたくないということであれば、ご自分の権利を放棄してしまえば良いだけです。
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