司法書士が教える相続登記の「登録免許税」の計算のやり方
司法書士の手塚宏樹です。相続登記をする際には、必ず「登録免許税」という税金を収めなければなりません。ご自身で相続登記をされる方に向けて、登録免許税の計算方法を解説します。
私ども司法書士に対するご相談で必ず聞かれるのが、「いくらぐらいかかりますか?」というものがありますが、この記事を読んでいただければ、登録免許税を計算できるようになります。
目次
登録免許税とは
相続登記に限らず、登記申請をするときに法務局におさめる税金です。司法書士はオンライン申請をすることが多いので、登録免許税もネットバンキングからオンライン納付をしますが、一般の方だと収入印紙を購入して申請書に貼り付けて納付することになります。
いくらなのか
抵当権の抹消登記ならば、不動産1個につき1000円、というように定額で決まっていますが、相続登記や贈与登記の場合は、不動産の評価額によって定率で課税されます。
相続登記は、不動産の評価額の1000分の4(0.4%)です。
1000万円の不動産であれば4万円、2000万円であれば8万円となります。
不動産の評価額はどこに書いてあるのか
不動産には価額がいくつもあります。売買価額は売り手と買い手が決めますが、役所が管理している価額もあります。
「固定資産税評価額」という数字を調べる必要があります。
納税通知書
毎年、4月~5月あたりに市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書の後ろのほうに、価格が載っているページがあります。
土地ごとに、建物ごとに掲載されています。土地が複数あると価格の数字も複数あります。
固定資産税評価証明書
お手元に納税通知書の控えがなければ、市区町村役場または都税事務所に固定資産税評価証明書を請求してください。
市区町村役場も都税事務所も、郵送で請求できます。故人と自分との関係を証明するために戸籍謄本等が必要です。
「○○市 固定資産税 評価証明書 郵送」と検索していただければ、該当ページが見つかります。
なお、都税事務所では一括して郵送センターで受け付けています。
↓↓↓
こちらのページに、郵送先などが詳しく掲載されています。
名寄帳を必ず取得してください
名寄帳という資料がありまして、ここには、対象者がその市区町村において所有している不動産がすべて掲載されているものです。評価額も掲載されています。
納税通知書を見るだけでは、固定資産税が非課税の物件が載っていないなどということがあります。しかし、固定資産税が非課税であっても相続登記の登録免許税は収めなければなりませんし、そもそもその物件についての相続登記申請そのものをし忘れてしまうことになります。
法務局では、「この物件について相続登記の申請を忘れてますよ」とわざわざ教えてはくれません。申請書に記載した物件についてしか登記をしてくれません。したがって、申請人の側でしっかり調査しなければならないのです。とくに公衆用道路について登記漏れが多いと思いますので、ご注意ください。
故人が保管していた権利書なども確認しなければなりませんが、名寄帳はとても重要な資料です。
なお、名寄帳は市区町村役場に、固定資産税評価証明書と同時に請求することができます。
いつの評価額の数字を使うのか
評価額は毎年見直されます。4月1日に新しい年度の数字に切り替わります。
気をつけていただきたいのが、相続が発生した年度の数字ではなくて、相続登記を申請するときの年度の数字を使うということです。
令和2年3月31日に申請する場合→令和1年度の評価額
令和2年4月1日に申請する場合→令和2年度の評価額
計算方法
土地の評価額:7,777,777円
建物の評価額:2,222,222円
上記の例で計算してみましょう。
1.土地と建物を合計する
7,777,777+2,222,222=9,999,999
2.合計額の1000円未満を切り捨てる
9,999,999円→9,999,000円
3.合計額に1000分の4を計算する
9,999,000÷1000×4=39,996
4.100円未満を切り捨てる
39,996円→39,900円
登録免許税は39,900円となります。
マンションの場合の敷地について
マンションは建物部分はそれぞれの所有者の名義となっていますが、土地についてはマンション所有者全員の共有となっています。登記簿を見るとその持分割合が書かれています。
評価証明書に記載されているのは、土地全体の価額ですので、所有者の持分割合に応じて計算します。
土地全体の価額が10億円で、持分割合が1000分の10だとすると、1000万円がその人の土地の持分ということになります。
相続登記の登録免許税は、1000万円について1000分の4をかけて計算することになります。
非課税の公衆用道路について
評価証明書を見ても金額が書いてないとき、たとえば公衆用道路などはどうすればいいでしょうか。
固定資産税が非課税であったとしても、相続登記の登録免許税は収めなければなりません。
一般の方が登録免許税を計算するには、ここはちょっと難しい部分です。
近傍宅地という言葉があります。非課税の公衆用道路について、その近くの土地の評価額を参考にして登録免許税を計算していくことになります。
評価証明書を請求するときに近傍宅地の数字を記載してくれれば、その数字を使えるので楽です。
近傍宅地の数字の100分の30が、求めたい公衆用道路の評価額となります。
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